JR東西線 大阪天満宮駅から徒歩5分。大道路より1本南に入った路地にフランス料理店「Le logis h (ルロジアッシュ)」はあります。開業から約一年。

メニューはコースのみで、内容はほぼ2か月で替わるため、それを楽しみに来たくださるお客様も少なくないという。

オーナーシェフの稗田鉄矢さんは九州出身で神戸国際調理製菓専門学校の2年制学科を卒業後、六甲オリエンタルホテル、ラピエールジパングを経て、渡仏。

フランスのヌーベルアキテーヌ地方にあるレストランで修業を積む。

その時に出会ったMOFのフランス人シェフの教えと譲り受けた味が今のお料理の基本となっているそう。

帰国後、有名フランス料理店などで勤務した後、2021年4月にLe logis h をオープンしました。

自分のお店を持ちたいという強い志を持ったのは、子供の頃。

テレビ番組「料理の鉄人」に心動かされ、「こんな料理も自分でつくれるようになって人に食べてもらいたい」と思い、料理の道を決意されたそうです。

このように料理を一生の仕事にすることを決意した稗田シェフに仕事の信条を伺った。

「求められるものを作っているだけでは、自分でなくてもいいんじゃないかって考えてます。自信を持って自分を前面に出した料理でお客様から認められることがこの世界では必要です。」と語るその姿は並大抵ではない。

「モノを売る」という視点においては、市場調査を経て消費者ニーズを満たすことが一般的であるが、料理の世界ではそうではないのかもしれないと改めて感じさせられた。

そんな稗田シェフも情報発信にはまだまだ課題があるようで、「何よりも現状を維持すること、そして店全体を前に進めるために日々勉強は欠かせません。困ったときは専門学校時代に出会った友人によく相談もします。」と語ってくれました。

神戸国際調理製菓専門学校にも自分のお店を持ってがんばっていきたいと思う学生はたくさんいます。

子供のころからの夢をかなえた稗田シェフに、この業界で働く上で大切なことは何か伺った。

「若いころは誰でも尖ってるし、なんでやねんと思うこともたくさんあるけど、まずは素直であることが一番。そうすると任せてもらえる仕事の量も多くなって、その仕事を遅くてもいいから丁寧にきっちりとこなすことでまた仕事を任せてもらえる。最終的にみんなから信頼されて楽しみややりがいが生まれる。これが仕事の醍醐味。でもこれが一番難しいんです。だから小さいことでもいいから目標を設定することが大切になってきます。僕はお金をためてフランスにいく！とか将来は自分のお店をしたい！といった目標があったので仕事が終わって練習もかねて魚を卸すこともよくありました。」

神戸国際調理製菓専門学校に入学した理由をお伺いすると「友達が大阪の学校に行くと言ったから」と笑いながら稗田シェフは語ってくれました。

「その友達とは仲は悪くないんですが、なんかライバル心みたいなのが芽生えてしまって、僕は神戸の学校に行ったろう！と思いましたね。でも結果としていまでも相談もできる友達とも出会えましたし、先生にも感謝しています。特に印象に残っていることは中村実シェフ(現北野ガーデン総料理長)が外来講師として実習に来られたときのピシッとした空気感です。あれは今でも忘れられません。僕が専門学校時代にはイタリアンが主流だったのですが、中村シェフの影響で料理に対する姿勢が変わり、自然とフレンチの世界に引き込まれた感じです。」

インタビューの中で稗田シェフはお客様との一期一会を大切にしているともおっしゃっていました。

もしかしたらルーツはこういうところなのかもしれません。
「学生の間は色々なことがあるけど、漠然とでもいいから目標だけはしっかりと持つことが大切だと僕は感じます。

技術も心構えも就職も目標があればなんでもこなせることができすので、夢に向かってがんばって欲しいと思います」

地平線の先にたどり着いても、また新しい地平線が生まれる。

稗田シェフの今後の目標はミシュランで星をとることだそうです。

開業して夢を叶えた一方で、これからがスタートだと感じました。今後のLe logis hに注目していきたいと思います。